古くから現在も商業、農業、漁業、工業が盛んで元気な泉佐野市。
見どころや立ち寄りたいスポット、美味しいグルメなど、たくさんの魅力にあふれている。
そんな泉佐野で、明治、大正、昭和時代から伝統を継承する、歴史あるお店をピックアップ。
お食事処をはじめ、泉州ならではの特産品やお土産店、老舗の温泉宿と、旅には欠かせない店舗をご紹介します。
泉佐野へ折角訪れた暁に、古き良き魅力が詰まった佐野の老舗店を巡ってみてはいかが?
戦後間もない昭和28年に創業した鰻料理専門店
泉佐野駅前通りの印鑑屋さんの隣に、趣き溢れる「うなぎ」の看板が。
ここは、1951年(昭和26年)創業、70年以上の歴史を刻む、鰻料理専門店「喜八(きはち)」。
当時からこの辺りに鰻の専門店はなかったそうで、旨い鰻がいただける稀少なお店と言えそう。
「喜八」は、祖父の代からお店を始めて、お父様が二代目、そして現在、その味を引き継ぐ三代目の内匠 善丈(たくみ よしたけ)さん。初代のおじい様がお店を始められたきっかけを伺った。
「難波千日前に『いずもや』という鰻屋さんがあったでしょ?そこの職人さんに、うちのお爺さんが教えてもらったのがお店の始まりなんです」と、三代目が穏やかに話してくれた。(明治時代創業の「いづもや」は、織田作之助の代表作「夫婦善哉」にも登場する老舗。「千日前 いづもや」は2008年に閉店している)
「爺さんはもともと、池で鮒(フナ)とかをさらっていたんです(さらうとは、関西弁で底にたまったものをきれいに取り除く、カラにすることを表した言葉)。その関係で知り合いだった職人さんに鰻の調理法を教えてもらい、しばらくその人も一緒に、ここで働いていたと思います」。
終戦したのが1945年。終戦後は、仕事を求めていた方が多くいたらしく、全国的にも1951年(昭和26年)に商売を始めたお店は多いと話してくれた。
「内装も創業当時のままですか?」と尋ねたリポーターに
「いいえ、はじめは半分だけやった。僕が小学校4、5年生のとき、半分は寿司屋やったんです。その寿司屋が辞めて、うちもちょうど忙しかったときやから、一緒に借りて店を拡げたんですよ。なので、今のお店は2店舗分の広さになりますね」と、カウンターの後ろにある柱を指差し、寿司屋の壁があった部分を教えてくれた。
今から47年ほど前、2代目の時にお店を2店舗分に拡張したそうだ。
国産にこだわった鰻を提供
「鰻は国産で、全国のええとこのモンを引っ張ってきて欲しい」と仕入れ先にオーダーしているという三代目。
「20年ほど前までは、週3回くらい大阪市内の木津卸市場まで買いに行っていた。今は、朝5時か6時頃に持ってきてもらっている。仕入れ先が目利きでええもんを選んでくれるのでお任せしている」。
外国産ならもう少し安く提供できるそうだが、そこは国産にこだわっているという。
取材でご用意いただいたのは、鹿児島産だと教えてくれた。
「昔は、鰻一匹1,000円ちょっとで売っていた。今の半額くらいかな?値段も手頃やったから、そんなに高いモンではなかったと思います。ここ十何年で、一気に倍以上に値段が上がりました。前は若い人もよう食べに来てくれはったけど、今はなかなか手が届かない食べ物になっちゃったのかな」と三代目。
確かに、鰻と言えば、ちょっと特別な日の贅沢な食べ物というイメージ。
とはいえ、一番人気の特上丼は、国産鰻を一匹近く使っており、それを2,500円で食せるのだから、リーズナブルと言えそう。
うなぎ丼は特上丼から並丼まで4種類の値段のバリエーションがあるが、すべて同じ鰻を使用し、質は同じ。量が違うだけとなっている。
※表示している価格は2022年12月取材時の値段です。詳しくは、直接問い合わせを。
串打ち3年、焼きは一生
毎朝6時頃から店に来て、鰻を捌き、串打ちして、焼いているという三代目。
「鰻の良し悪しは、焼いてみなわからへん」。37年の経験を重ねた職人でも焼き加減は難しいという。
もとは会社勤めをしていた三代目。転勤をきっかけに、お店を継ぐことを決意し、二十歳頃からお父様である二代目のもとで修行することに。
まずは鰻の捌き方、開き方から。指を切ったりしながらも、毎日のように開いていたら、そのうち慣れて1、2年で開けるようになったそう。
「一番難しいのは、焼き。今でもなかなか焼くのは難しいと実感します。同じところで育っても、個体差があって、毎回焼ける時間も違うので見極めが難しい」。
「串打ち3年、焼きは一生」という言葉があるそうで、それだけ焼くのは難しいと教えてくれた。
創業以来、変わらぬレシピで味を守り続けている
うなぎ丼の注文が入る度に、鰻は炙って温め、タレはご飯と混ぜて仕上げるスタイル。
「タレや作り方も、初代が教えてもらった『いずもや』のレシピ。継ぎ足しのタレとは作り方が違うので、2~3日に一遍炊いて使い切ってしまいます」。
70年以上の歴史あるお店の秘伝のタレが、継ぎ足しではないと言うとガッカリされるそうだが、それが初代から受け継いでいる「喜八」ならではの味といえる。
「調味料も、その当時使っていた材料、メーカーのものを今も変わらずに使用しています。酒屋さんとか辞めていくとこもあるから、そのお店が閉まったときは探し回った。今はネットで探したりしています。70年前の味をそのまま保とうと思ったら、材料も当時のものを揃えないといけないので大変ですよ(笑)」と、にこやかに話す三代目に、戦後当時の味がそのまま楽しめるのは大変有難いことだと伝えた。ある意味、明治創業の『いずもや』の味が今も続いていることになる。凄い!
「タレを上からかけるのではなく、ご飯に混ぜてたっぷり使うので、辛口であっさりしていると思います」。
70年間、味を変えずに守り続けている。
その味わいは、見た目ほど濃くなく、ぺろっと完食してしまう美味しさ!ぜひ味わってみて!
鰻の旬って、実は冬!?
鰻と言えば、「土用の丑の日」。
「夏の忙しい時期は、冬の時期の倍ほど焼いた。去年の丑の日は250匹も焼きました。それでも断っていた状態やったけど。鰻を開いて焼いて、開いて焼いて、二日寝られなかったですよ(笑)」。
そう笑って話す三代目に、「冬場の鰻は脂が乗っていて美味しい」と教えてもらった。
今は養殖の鰻が主流なので、年間を通して味はほとんど変わらないそうだが、鰻の旬って、実は冬だそう。
「昔は、冬にしか鰻が売れなかった。江戸時代に平賀源内が、夏に鰻を売るために「土用の丑の日」を作ったと言われています」。
そこから夏にうなぎ屋が大繁盛し、この風習が現代まで続くようになったそうだ。
そんな鰻の魅力を三代目に伺うと
「やっぱり食べて元気が出る!体にええと思う」ときっぱり。
「でも僕は味見専門です。特上なんか食べたことない。とくに夏は、あんだけ焼いたら、もう鰻の顔は見たくないわ(笑)」。
うなぎ丼のほか、三代目が最近考案したメニューも必食!
鰻が高騰したので何か違うものを、と三代目が考案した、うなぎちらし寿司(1,100円)。
すし飯に、錦糸卵と鰻、紅ショウガを乗せた彩り華やかな逸品。程よい酸味があり、さっぱりいただけて女性が好きなお味かも。
うまき(300円)や、きも吸(200円)などの汁物も含め、全品テイクアウトOK!
趣きのあるレトロな店内の雰囲気を楽しみながら頂くも良し、テイクアウトして宿泊先で頂くも良し。
伝統を継承する、老舗の味わいをぜひ堪能して!
最後に、「戦後の味が楽しめるのは、とても稀少!がんばって欲しい!」と三代目に伝えると、
「80歳くらいまではやりたい」と笑顔で応えてくれた。
まだある!グルメな老舗店
👉お食事処 植田 創業大正9年
三代目の女将の洋子さんと四代目の息子の洋平さん、お姉さんの明澄(かすみ)さんが大正9年創業当時のだしの味を継承している老舗。元々うどん屋なので人気は肉うどん。30~40年前からあるメニューでステンレス皿に乗ったレトロなオムライスもオススメ。ランチ予算800円、呑みにも重宝する一軒♪
https://mottsano.jimott.net/customer/%e3%81%8a%e9%a3%9f%e4%ba%8b%e5%87%a6%e3%80%80%e6%a4%8d%e7%94%b0/
👉いろは満月 泉佐野店 創業大正15年
大正15年創業の老舗精肉店からスタートし、スーパーやカフェを展開。好評だったお好み焼き部門は独立し「いろは満月」が誕生。国産素材・自家製にこだわり、オリジナルの器具まで自社製。A4ランク黒毛和牛入のお好み焼きがあるのは、元精肉店ならでは。地元泉州産の青ネギ入りのねぎすじコン焼きも◎。
https://mottsano.jimott.net/customer/%e3%81%84%e3%82%8d%e3%81%af%e6%ba%80%e6%9c%88%e3%80%80%e6%b3%89%e4%bd%90%e9%87%8e%e5%ba%97/
約130年の歴史と伝統を誇る泉州タオル
泉州地域は昔、綿花が栽培され、繊維産業が盛んだったことから、日本のタオル産業発祥の地でもある。
約130年の歴史と伝統に育まれた職人たちの技術で、こだわりの泉州ブランドタオルを数多く生み出している。
👉ふくろやタオル 創業大正15年
大正15年創業の「ふくろやタオル」は、「古い」と「新しい」を織込んで進化する泉州タオルを発信。
五代目の袋谷謙治さんは、子供のころから絵を描くことや、工作などが好きだったそうで、タオルに文字や図柄の織込する技法を開発した三代目と同じく、常に新しいアイデアで独自のブランドタオルを生みだしている。
ブランド「雫〜SHIZUKU〜」は、水なす、玉ねぎ、松波キャベツ、彩誉にんじん、大阪産バジルの泉州野菜5種の皮や身などで染色をした七色タオル。「野菜の雫、ぎゅっとタオルにとじこめて」地産食品で素敵な色、パッケージも可愛い!
「NOKORI−FUKU のこり福」は、ワイン、クラフトビール、抹茶で染めた3色の深みのある色と触り心地、貰えたら嬉しい逸品。高級タオルをお探しの方はぜひ!
コチラもオススメ👉 K‘s Cotton House(金野タオル) 創業昭和9年
1934年創業の老舗タオルメーカー「金野タオル株式会社」。30台以上のタオル織機が壮観な工場内では、熟練の職人の技と最新鋭の設備で高品質な「泉州タオル」を製造している。工場に隣接する直営ショップ「K’s Cotton House」で、人気のシンジカトウデザインの可愛いタオル製品など、ぜひ手に取ってみて♪
https://mottsano.jimott.net/customer/ks-cotton-house/
明治、大正、戦後に創業した味をお土産に
👉むか新 本店 創業明治25年
1892年(明治25年)創業。泉州地域の方なら誰もが知る老舗のお菓子屋さん。昔なじみの和菓子「千石」は、創業130年の記念に見直しをされ、さらに濃厚&美味しさを追求。フォルムも素敵。レトロなデザインの箱の「こがしバターケーキ」はリポーターも大好き♡いわずもがなの美味しさです。
https://mottsano.jimott.net/customer/%e3%82%80%e3%81%8b%e6%96%b0-%e6%9c%ac%e5%ba%97/
👉有限会社北庄司酒造 創醸大正10年
創醸は大正10年、泉佐野唯一の酒蔵。「正直な酒造りを目指している」と語る、四代目蔵主の北庄司知之さん。“佳い酒を少しずつ”をモットーにした酒造りを昔ながらの手作業で行っている。看板名柄「荘の郷(しょうのさと)は、やや辛口のすっきりとした味わい。冷・常温で呑むのがオススメとのこと。
https://mottsano.jimott.net/customer/%e6%9c%89%e9%99%90%e4%bc%9a%e7%a4%be%e5%8c%97%e5%ba%84%e5%8f%b8%e9%85%92%e9%80%a0%e5%ba%97/
👉西洋菓子処 まつみ玄璽 創業昭和22年
1947年(昭和22年)創業の老舗菓子処。「祖父が和菓子職人として店をはじめ、父の代で洋菓子を扱うようになった」と、三代目の松見 衡(まつみまもる)さん。おすすめは看板商品の「ケーキ大福」。生クリームが絶品でフルーツとの相性も抜群!その時季に美味しい産地の苺を使ったケーキもチェック!
https://mottsano.jimott.net/customer/262/
大阪府内唯一の温泉郷「犬鳴山温泉」で宿泊
👉犬鳴山温泉 み奈美亭 創業大正15年
1926年(大正15年)創業、間もなく100年の歴史を重ねる老舗観光旅館。玄関口では、柴犬のキュートなさくらちゃん(女子)がお出迎えしてくれる。四季折々の大自然を臨む自慢の天然温泉はもちろん、地元の山海の幸や旬の厳選素材を使ったお料理、心尽くしのおもてなしを楽しみに、足を運んでみては。
https://mottsano.jimott.net/customer/%e3%81%bf%e5%a5%88%e7%be%8e%e4%ba%ad/
👉犬鳴山温泉 不動口館 創業昭和7年
1932年(昭和7年)創業。三代目女将 河原千晶さんと四代目の河原政幸さん親子の二人三脚で営む温泉旅館。露天風呂が付いたお部屋をはじめ、すべての客室が樫井川に面し、山々の自然を満喫できる。「大自然と味わい深いお料理、美人の湯で至福の時をお過ごしください」。様々なプランがあるので是非!
https://mottsano.jimott.net/customer/%e7%8a%ac%e9%b3%b4%e6%b8%a9%e6%b3%89%e3%80%80%e4%b8%8d%e5%8b%95%e5%8f%a3%e9%a4%a8/
泉佐野の歴史を伝える“老舗めぐり”満喫ルートをご紹介
【コース例①】
泉佐野駅周辺(徒歩)&犬鳴山(バス)
11:00 泉佐野駅
↓(徒歩すぐ)
11:00 喜八orお食事処 植田(食事ランチ)
↓(徒歩約8分、650m)
13:00 ふくろやタオル(買物)
↓(徒歩約8分、650m)
15:00 泉佐野駅前
↓(15:10発 泉佐野駅前南海バス犬鳴線 15:44着予定)※平日の場合
15:45 犬鳴山温泉 不動口館 チェックイン(宿泊)
翌9:40 犬鳴山温泉不動口館 チェックアウト
↓(9:50発 犬鳴山南海バス犬鳴線泉佐野駅前 10:24着予定)※平日の場合
10:25 泉佐野駅前
↓(徒歩約2分)
10:30 むか新 本店(お土産)
南海ウィングバス犬鳴線
泉佐野駅前発 時刻表
http://www.minami-osaka.jp/?NankaiBus%2FIzumisano%2FInunakiyama
犬鳴山発 時刻表
http://www.minami-osaka.jp/?NankaiBus%2FInunakiyama%2FIzumisano
【コース例②】
日根野方面から犬鳴山(車)
11:00 泉佐野駅 (レンタカー利用)
↓(泉佐野駅周辺より車5分)
11:20 いろは満月 泉佐野店(食事ランチ)
↓(車で約7分)
14:00 北庄司酒造(お土産)
土日祝なら、ライダーズ&サイクリストオアシス蔵MotoCafeも♪
↓(車で約14分、8.0km)
16:00 犬鳴山温泉 み奈美亭 チェックイン(宿泊)
翌10:00 犬鳴山温泉 み奈美亭 チェックアウト
↓(車で約22分、11.9km)
10:30 K‘s Cotton House 金野タオル株式会社直営ショップ(買い物)
↓(車で約10分、3.7km)
11:30 西洋菓子処 まつみ玄璽
ニッポンレンタカー泉佐野営業所(泉佐野駅より徒歩5分)
https://sasp.mapion.co.jp/b/nrs_s/info/340980/?ret=3&BT3=selectReserveOfficeWithRecommendation
ニコニコレンタカー泉佐野上町店(泉佐野駅より徒歩約11分)
https://www.2525r.com/osaka/izumisano/store-01008-009.html
ご予約・お問い合わせ
喜八
Tel: 072-462-1156 定休日:月曜、年始1/1・2・3は休み
営業時間:10:00~18:00 ※売り切れ次第終了
◆
お食事処 植田
Tel: 072-462-0344 定休日:月曜
営業時間:火~土11:00~22:00、日 11:00~21:00
◆
いろは満月 泉佐野店
Tel: 072-461-0468
定休日:月曜(祝日の場合は翌火曜に振替)、年末年始12/31・1/1
営業時間:月〜土11:00〜15:00(LO.14:00)、17:00〜22:00(LO.21:00)
日曜・祝日11:00〜22:00(LO.21:00)
◆
ふくろやタオル
Tel:072-462-2288 定休日:日曜、祝日、年末年始、土曜は不定休
営業時間:10:00~17:00
◆
K‘s Cotton House
Tel:072-462-3801 定休日:日曜、祝日、土曜日は不定休
年末年始、ゴールデンウィーク、夏季休業有
営業時間:11:00~17:00
◆
むか新 本店
Tel: 072-464-0100 定休日:水曜
営業時間:9:00~18:00
◆
有限会社北庄司酒造店
Tel:072-468-0850 定休日:不定休 ※公式HPで確認
営業時間:月~金 8:00~17:00、土日祝 9:00~16:00
(蔵Moto Caféは、土日祝日10:00~16:00のみ営業)
◆
西洋菓子処 まつみ玄璽
Tel: 072-462-1382 定休日:水曜、第1.3火曜(臨時休業有り)
営業時間:9:00~18:00
◆
犬鳴山温泉 み奈美亭
Tel: 0120-12-3731
宿泊(夕・朝食付):チェックイン16:00~チェックアウト10:00
日帰り温泉入浴:11:00~21:00(受付は20:00迄)
【料金】大人950円(入湯税75円含む)、子供(1歳~12歳)470円(1歳未満無料)
◆
犬鳴山温泉 不動口館
Tel: 072-459-7326(代)
宿泊(夕・朝付、プランにより異なる):チェックイン15:30~チェックアウト10:00
日帰り温泉入浴:11:00~21:00(受付 20:00迄)
【料金】大人900円(入湯税75円含む)、子供400円(2才未満は無料)