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犬鳴山の温泉を掘り当てた強運の親子をご存じですか?

犬鳴山元湯温泉 山乃湯

源泉をそのまま湯船へ、しかもかけ流し♪

全国に、沢山の温泉があるが、源泉をそのまま湯船に供給している温泉は、少ないそうだ。
しかも「かけ流し」。
この「山乃湯」は、犬鳴山の温泉水を掘り当てた髙原さんの温泉施設がある場所だ。
採掘現場には、近づけないが敷地から川向うにある囲いを目にすることができる。

今も、ここから犬鳴山の温泉旅館などに温泉水を供給している。

緑に囲まれ隠れ家のように、佇む古い建物。一見すると何の建物か想像しにくい。

湯元!?

温泉郷犬鳴山の車道の坂道を上る途中に突然と、敷地へ入る急な下り坂があるので、一度は通り過ぎてしまう。何度か犬鳴山に訪れているリポーターも登りの左側に古びた看板があることを知っているにも関わらず何度も通り過ぎている。
そもそもは、看板に「湯元」と記載されているので、気になって訪ねた。

府道62号線、犬鳴山バス停を右に和歌山方面に上る。看板を見逃さない様に!

犬鳴温泉の管理人に出会う

駐車場側の裏口で出会った、リピータらしきご夫妻より
「ここの温泉は、物凄くいいよ。他の所と全然違う。毎月来てるんよ」と、話しかけられた。

坂道を利用した施設のため裏口の階段を上がると、そこには、休憩するスペースがあり
その場所に、お一人で座っていらしたのが
髙原 長文(たかはら たかふみ)さん、今年87歳。
たったお一人で、犬鳴温泉郷の温泉を管理しながら日帰り温泉施設を経営されている。

髙原 長文(たかはら たかふみ)さん     休憩スペース

遠方から元湯の良さを知る人たちが、訪れる温泉

遠くは、九州や関東方面、京都、奈良、近くは岸和田市など、元湯の良さをご存じの方が、
定期的に訪れるそうだ。

「コロナ禍と年齢のこともあって宿泊施設は、閉館してしまった。でも、ここの温泉が、ええと言われ、通って来る人らのために毎日開けてるんや。遠くから来るのに閉まっていたら気の毒やから・・・。
前に、清掃か修理で休んでいたら、『入りに来た』と言われ、それで、(男女の)片方だけ、温めて勝手に入って、帰ったらええと、言うたこともあるんや」。

髙原さん親子

髙原さんは、大阪府泉南郡佐野町(現在の泉佐野市)で生まれ、今の南海泉佐野駅付近に住み、
第一国民学校(現在の泉佐野市立第一小学校)に通っていたそう。
「親父は、米国製のインディアンと言う大きなバイクに乗って、袴姿で役場に通勤していた。
助役をやってたんや。でも、
24か5歳の時、役場を辞め、この大木地区で綿や蚊帳を作る紡績の仕事していた」。

髙原さんが生まれた昭和10年。佐野町制25周年の際に曳かれた角鼻町(現在の南海泉佐野駅下がり泉佐野市本町)だんじり

「戦中、戦後の小学生のころ、住んでいたが南海泉佐野駅付近から大木地区まで往復自転車で、目立たない様に田んぼの合間の道を選んで荷物を運んだ、夜道は怖かったが、親父が厳しかったので・・・。
忙しい時は、家業の手伝いも、よくやらされたんや」。

昭和13年野出町鉄塔(海側)から犬鳴山を望む  昭和17年夏祭。髙原さん7歳、賑わう佐野駅下商店街

温泉を掘る会社を創ると言われて仕事を辞めた

その後、不景気で紡績の会社を閉めることになったそうで、
「私が20歳代半ばやったと思うけど、外で就職していた私に、
親父が『温泉を掘る会社を創る』と言うて・・・。
昭和34、5年くらいやったかな~。『戻ってこい』と、言われ仕事を辞めて、手伝うことになったんや」。

昭和33年ごろ 現在の南海泉佐野駅下がり

「でも、親父は言うだけで、全部わしが、やらされたんや、
親父にしたら、和歌山や兵庫など周辺には温泉があるのに、大阪には、温泉が無かったんで、そんな思いもあって、温泉を掘りたかったと思う。だから大阪第一号の登録温泉になるけど、知らん人がほとんどや」。

リポーターが、「大阪で一番古い温泉になるんですね!」と驚いたが、
「温泉の古いのは、何千年、何百年になるのもあるし、堀ったわしが、まだ、生きているから、そんなに古くは、ないわな~」。(笑)

1年未満で温泉を掘り当てる

当時、1千万円ぐらいのお金をかけて310メートルほど採掘をしたら温泉が出てきたそうで、1年未満で掘り当てたそうだ。
そんな短期で、温泉が見つかるのかと、またまた、驚いたところ、髙原さんは神妙な顔つきで、

「当時は、旧式の採掘方法なので、時間がかかったと思う。時間がかかると、お金もかかる。
大学の先生など専門家の方々に、色々分析をしてもらって場所を選んだ。ここは、温泉が出たけど、出ないこともあるから」
ちなみに、髙原さんは、貝塚市にある水間温泉も採掘したそうで、温泉が出た後、経営が上手くいかず会社を手離した。次に経営した会社が周辺をいくつか採掘したそうだが、結局、温泉は出なかったそうだ。

掘ったら堀ったで維持するのが大変や

最初は、犬鳴山に温泉が出ても周囲の関心は薄かったそうで、お父様自身で利用されることがメインのようなスタートだったらしい。
「温泉を掘ったら儲かると、皆思うけどな、出るか出ないかわからんし、ある程度、知識がないと温泉は出ない。しかも掘るなら浅い方がいい。深かったら3~4年で詰まってしまう、どこでもやけど、温泉は常時、汲み上げしないと詰まるので、電気代やポンプの修理など、維持するのが大変や」。

昭和36年ごろ、宿泊施設「山乃湯荘」の経営をスタートした。(コロナ禍以降閉館)
「犬鳴山に来る観光客が、山から戻って来た夕方に、『お風呂に入りたい』と要望があり
役所に言われて、仕方なく温泉に入れる宿泊施設を急遽、準備し建てたんや。夕方遅くなると、周囲の宿泊施設で受け入れる人数に限りがあって収容できないから相談されたんや」。

左から:犬鳴温泉センター / 日本観光旅館 み奈美亭 / 犬鳴山温泉 不動口館 

その後、犬鳴温泉センターが、「温泉を引きたい」と、申し出があり、それがきっかけとなり、周囲の宿泊施設も同じように要望があって供給を始め、泉佐野の温泉旅館街、現在も大阪唯一の犬鳴山温泉郷が誕生した。
「これで、ようやく採算が合うようになったんや」。

生きている間は犬鳴山の温泉はしっかり維持する

伺った際には、男性用脱衣所の修理に大工さんがお越しでしたが、日帰りの温泉施設の管理だけでなく、
義務化されている温泉成分の検査など、犬鳴山温泉を維持するために現役で、しかもお一人で管理されているので、「大変ですね」と、リポーターが伝えると

「3年に1度の温泉の成分検査をしても、昔も今もあまり変わらない」。
「ここを維持するには、みんなに使ってもらわないといけない。わしが、生きている間は維持するけどな」
と、しっかりした口調で、語られた。

現役で犬鳴山の温泉を護る昭和10年生まれの髙原長文(たかはら たかふみ)さん

白く濁りトロットした温泉水で美肌に

「遠くは、九州、東京とか全国から療養のために来る方も多い。特にアトピーの方が凄く良かったと何度もきてくれるんや、彼らは、あちこち温泉を廻ってよく知っているので、また、来てくれるのは嬉しい」。
単純硫黄泉など、温泉成分がいいのだろう

大阪市内から車で約1時間で、訪れたとは思えない自然豊かな環境にも癒される

浴槽からは、犬鳴山の自然が広がる。
ぼーっと湯船で、山々の木々と空を眺めているだけでも癒される空間だ。
源泉のお湯は、白く濁っているが、トロッとした感じもあり『美人の湯』と言われるだけあって、なんだか美肌になれそうだ。

有料休憩スペース1名300円でゆっくりするのもいいかも

強運の髙原さんに逢いに来て欲しい

温泉にゆっくり浸かった後は、休憩ができるスペースでゆっくりできる。自販機などのドリンクも充実している。
食事は、釜めしの注文ができるが、お弁当など持ち込みもできるので、良く知っている方はお弁当を持参されている方も多いそう。ただし、お酒の持ち込みやBBQは、お断りされている。

源泉での入浴は、もちろんお勧め!
そして、もうひとつっ
温泉を掘り当てた強運の持ち主に、あやからないと・・・・!
髙原長文(たかはら たかふみ)さんに、『いいお湯でした』と、声をかけて、くださるのも、ありかも。。。
犬鳴山に訪れるなら、是非寄ってほしい。

「源泉かけ流し」と表示があるのに湯があふれていない宿泊施設(身近な消費者トラブルQ&A)_国民生活センター (kokusen.go.jp)

ご案内

入浴料金:大人 775円 小学生以下(0歳児を含む)300円
(入銭税、消費税込)※再入場できません。
【ご利用可能時間】10:00~18:00 
定休日:年中無休

天然温泉フード&ドリンク

犬鳴山元湯温泉 山乃湯

テイクアウト不可

〒598-0023 大阪府泉佐野市大木2234

山乃湯は、犬鳴山温泉郷の湯元で犬鳴山温泉の全ての施設には、こちらの温泉が配湯されている。 単純硫黄泉、トロトロヌルヌルの...

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