大阪市内から1時間余り、原生林の森と大小の滝も魅力の犬鳴山には、修験者の滝修行が行われる犬鳴川と和歌山県から流れる二瀬川があり、その合流点の樫井川には、3つの温泉施設、犬鳴温泉センターと温泉旅館 み奈美亭、不動口館、がリバーサイドに佇んでいる。
七宝瀧寺への参拝はもちろん温泉を目的に利用される、犬鳴バス停から温泉施設を道なりに徒歩で進むと、犬鳴大橋がある。そこからの景観も素敵で日本最古の霊山にある参(山)道パワースポットに期待が高鳴る。
観光ボランティア協会 平松 忠紘さんと参(山)道を行く
犬鳴川沿いに森の中へ、渓谷でもある参(山)道を歩く。終点は、行者の滝がある七宝瀧寺。
その前に、平松さんより犬鳴山の魅力の説明を受ける。
1.都心から1時間のアクセス
2.渓谷のおりなす自然美
3.国定公園で原生林の静かな森
4.1350年前に役行者が開山した神秘的な山
5.山頂からの大阪湾の展望に感動
6.下山後の疲れをいやす温泉
大きな杉の木が道の真ん中にドーン!!
犬鳴山は昭和14年に大阪府の景勝地に指定されているが、更に平成元年4月に「大阪みどりの百選」に選ばれている。
日本の国歌「君が代」に登場する石はコレ!!
行者が霊場に入る前に背負っていた笈(おい)※1を外し、この石に掛け、休憩し身支度を整えたという。
日本の国歌「君が代」に出てくる♪さざれ石の~~巌(いわお)となりて~♪とは、この状態の石のことで、谷筋の川底の砂と細石が長い年月を経てこの塊に形成されたものだそう。
さざれ石を祀る神社が結構あると教わったが、このさざれ石は、参道に入る道端に門?岩?言われなければ気にせず進んでいたので、改めて目にし、触れることで、なんだか感動~そしてパワーをもらえた気が・・・。
※1笈(おい)とは木箱、現在のリュックサックの様な荷物入れ、昔の修験道者(山伏)が修行の為の道具をこの木箱に入れて肩にかけ移動していた。
総門 これより霊域へ
犬鳴山全体の門ともいえる。これより霊域とされ、聖なる領域と俗なる領域の境を結界と言い、秩序を維持するために区切られた空間領域だそう。
低く垂れさがったしめ縄の前で、一礼をして足を踏み入れると、これまでと違った神秘的な空間、なんだか森に引き込まれるような感じもあるが、穏やかで清々しい気持ちになれる。
※2日本遺産とは、日本の様々な地域の歴史的な物語を知ることができる建物、遺跡、伝統的な文化であることを国が認定したもののこと
行者の滝から犬鳴川にかかる二の橋付近に犬鳴溝(用水路)の取水口があり、ここから取り入れた水は用水路を流れて大木の村の田畑を潤すそう。
近世以降には、後ろの高城山頂上付近に池を築き、水が枯れた時のみ夕方に桶を抜くそうで、水は「行者の滝」の上流に落ち、渓谷を流れて犬鳴溝に入り、翌朝大木村に達するという。
恋愛成就スポット「ハート石」♡
国産の杉やヒノキ材を使用し、木材の持つ温かさ、優しさ、木の香り、感触を感じさせてくれる「二の橋」は、
絵本に出てきそうな素敵な橋だなあ~とちょっとウキウキ♪
そんな「二の橋」を渡る手前のステップに「ハート石」が♡
ハート石を踏まずに渡れば恋愛成就。間違って、踏んでしまったリポーター(;^_^A
し、し、しまった~~~。
岩屋行者(迎えの行者尊)
犬鳴山は、役の行者(役の小角)が661年に開基した日本最古の霊山。
役の行者は吉野の金峰山、大峰山などの霊場を開いた「修行道の元祖」で、その身なりは、ぼざぼざの髪を藁で束ね、ほうぼうの髭は伸び放題、いつも一本歯の高下駄をはいて深い山々で修行に励んでいたそう。熊笹をかき分けて雑木を倒し急な崖をいっきに駆け下りたかと思うと、今度は高い山の頂上まで一息で上がったそうで、人間ばなれした不思議な神通力を持っていたそう。
この切りたった岩も、軽々と上ったのだろうか?しかも一本歯の高下駄を履いていたなんて、まるで天狗のようだと想像めぐらせ岩間に祀られた役の行者(役の小角)に手を合わせた。 不思議なパワーをもらえたらいいなぁ~
大地の息吹を感じる「ノッポ杉」
「大阪府で一番高い杉の木と言われています。約20年前の測定では高さ38m、幹回り4m(位置:胸の高さぐらい)でした。
手を当てて木の精気を頂きましょう」と平松さん。
渓谷と渓流。渓谷を横目に登る
犬鳴七滝の一の滝「両界の滝」
犬鳴山七滝の代表格。参道で最初の滝(一の滝)の渓流が現れる。
「両界※3の滝」を境に下界と霊域を分けているそうで。少し勾配の険しい場所にある。
この「両界の滝」には八代竜王※4の内、ナンダ竜王とバツナンダ竜王が住み、七福神の戎(えびす)神と大黒天様がいるそうで、二段に分かれる滝の向こうに、竜宮に通じる門があるとされている。
静かな森の中に響く落水が、なんとも言えない心地よさを感じる。
しばらく立ち止まって岩や水面に勢いよく打つ水音を聞いてみては?
大自然を感じるだけで、パワーをもらえるかも・・・・。
※3両界とは、密教の本尊 大日如来の「智」の面を示す金剛界と「理」の面を示す胎蔵界のこと二つの世界が揃ってはじめて密教世界になる。
※4八代竜王とは、天龍八部衆に属する竜族の八王のこと
金高橋(きんたかばし)を渡って、金運UP?
いかにも金運があがりそうな橋と社。金運UPにあやかりたい♪
このあたりでは、かじかガエルの奇麗な鳴き声や、夏にはヒルハルゼミの鳴き声が聞こえる。
大阪府内唯一のヒメハルゼミの生息地でもある、うっそうとした森の中でも、枝葉からの木漏れ日の美しいエリア
金運、金運と、ぶつぶつ唱えながら橋を渡ってみました(笑)
七宝瀧寺の山門「瑞龍門(ずいりゅうもん)」は、立身出世のパワースポット!
突然、緑の景色の中にひと際、鮮やかな朱色に塗られた「瑞龍門」が現れる。「わ~、立派ですね~」と思わず!
泉佐野出身で造船所の会社、佐野安ドッグの創業者 佐野川谷 安太郎氏(明治19年生まれ)から2代目の社長が安全祈願をするために従業員の方々と一緒にお金をお集め、社あげてこの門を寄進したそうだ。
少し違った異空間へと繋がるような雰囲気のある素敵な門。立身出世をした創業者 佐野川谷 安太郎氏にあやかり出世運のアップを願いこの門をくぐり抜けよう
赤い橋をバックに♪記念写真のおススメスポット神宝橋(しんぽうばし)
この周辺は杉の大木群で直径1mクラスが9本
もみの大木やコウヤマキも植栽されている。
大護摩場へ行ってみよう
分かれ道になっているが、右に進んでも目的地は同じ、でも今回は、パワースポットが目的なので古から使われる大護摩場を拝見するため左へ入る。
大護摩場はあり、毎年4/29に大規模な柴灯護摩大祈祷会(さいとうごまだいきとうえ)と火渡り修行が行われる。点火は午前10時と午後13時の2回。午後の部で、樋渡修行、火床三昧(かしょうざんまい)が行われるそう。
まだ火が残る熾(おき)の火床を数メートルほど広げ、その上を素足で歩く業。体の悪いところがあれば火で焼き尽くすと信じられ誰でも参加できる。 (コロナ禍以降、大護摩場は使用していません。現在は、七宝瀧寺駐車場近くの修験道広場にて開催されている)
確かに足の裏はたくさんのツボがあるというし、お灸??に近いのかも
ちょっと、怖いけど・・・参加してみたい気も・・・好奇心と勇気のある方、チャレンジしてみては?
「神明橋」を渡り「神々の庭」へ
橋を渡ると六地蔵・神明大権現・出世稲荷・九頭龍大神など神々の集まる庭。ペットの霊安所もある。
商売繁盛をお願いするなら「神明大権現」
もともと発達繁盛の守護として祭られていたが、いつの頃からか頭部の医をする神、中風(脳血管障害)除けの守護としても崇信されている。
商売繁盛は、もちろんだけど脳溢血とか怖いですもんね。ここは、深々と一礼を・・・。
ビューポイントの塔の滝
全部で七つある滝の内の第二の滝で最も景観が美しいと言われる。昔は文字通り塔のように細く、落差があり長い滝だったが、すぐ下流に砂防ダムができたため滝壺に石や砂が蓄積し現在の落差の低い滝になったという。
水量にもよるが、参(山)道から滝つぼの淵の水辺に近づくことができる。
近くに「岩室不動」足の神様。健脚と足の病気よけに霊験とされている。
不思議なパワーの「お亀石」
精気が発せられているらしい。
犬鳴山の名の由来となる義犬伝説に登場する義犬の墓の近くにあり、犬の足跡が残されているとされている。
苔で覆われ、ワンちゃんの足跡は、よくわからなかった・・・。
お亀石は禁足地となっており、中に入らないようになっていて、現在も大切に保護されている。
手を合わせて、パワーをもらおう!!
義犬の墓(義犬塚)で愛犬の健康を祈る
猟師を襲おうとしていた大蛇に噛みついた義犬の墓。犬鳴山、命名の由来でもある。
川沿いの斜面を登っていくと、左手の斜面の上に見える犬の石像。これが、「義犬伝説」の中に登場する猟師の命を救った義犬の墓。実はこの墓石は明治時代に作られたレプリカ。
初代の本来の墓は高さ60㎝、幅30㎝ほどの自然石で石面に梵字で中央に「阿」の字を刻し、下に犬・大菩薩、右に寛平二年(890)、左に三月十五日と刻まれていたそうだが、朽ちてしまったので明治時代にそのレプリカを作ったのだそう。
義犬伝承の成立は、葛城修験のもっとも古い文献である「諸山縁起」(鎌倉時代初期)に犬の為にお経を読むという記述があり、そのことから犬鳴伝承は「諸山縁起」成立以前の平安中期ではないかと考えられている。
義犬伝説とは
平安時代、山向こうの池田庄の猟師がいつも犬を連れてこの山中でイノシシやシカをとらえて暮らしていました。
ある時、シカに狙いを定めていたところ、急に犬が激しく吠え立て始めました。獲物を逃がした猟師は怒り、山刀で犬の首をはねてしまいました。
するとその犬の首は飛び上がって猟師の後ろにいた大蛇ののど元に食らいつき噛み殺してしまいました。猟師は飼い主の恩を忘れず、自分の危急を救った愛犬のために出家してこの山で供養の日々を送ったそうで、
このことを知った帝は、「一乗山」あらため「犬鳴山」という称号を賜ったというお話。
古から、犬と人は仲良し! 伝説のお話は、悲しいけれど愛犬の健康をお願いしました。
あともう一息!
大きな石や岩がゴロゴロと・・・。ゆっくり歩けば40~50分のコース、急な登りや凸凹もある山道、スニーカーなど歩きやすい靴を履いて、パワースポットと大自然を堪能しながらなら少し厳しい散歩、ハイキングぐらいかな・・・。
見どころ、感じる事、沢山あって時間もアッという間。
トンネルをくぐると
大龍不動明王へ続く参道の鳥居
令和2年度(2020年)に、『葛城修験 -里人とともに守り伝える修験道はじまりの地』が、
広域型(シリアル型)の日本遺産に認定されたが鳥居前にもロゴの表示看板がある。
「大龍不動明王」の鳥居をくぐり修験広場へ向かう参道
志津の涙水(しずのなみだみず)
「癌除け岩竜王」の右横に、よく見ると滴る清水
志津の物語は葛城修験の奥の院ともいわれる犬鳴山の霊験を彩る物語として語られたのではないかといわれている。
中世の七宝瀧寺縁起には登場していない為、江戸時代(寛文三年 1663年)の「犬鳴山七宝瀧寺記」に初めて登場することからこの物語ができたのは、江戸時代ではないかと言われている。
志津の涙水伝説
平安時代、京の都の宮廷に使える女官の志津は、宮廷に出入りしていた小聖に思いを寄せるが修行僧の小聖は受け止められずこれをかわして犬鳴山に逃れた。志津は小聖を追って諸国をめぐり、とうとう犬鳴山にたどり着くが、小聖を目前にして疲れ果てて倒れ、やがて息絶える。白い雲が志津をつつみ柔らかい小雨が降る。村人が志津を哀れんで葬ると傍らの岩には涙のような水滴が落ちる。
以来、これを涙水と呼びこの涙水は干天でも枯れることなく、犬鳴に白雲がかかると小雨が降るという。
村人たちは志津を哀れみ墓を建て手厚く弔ったといわれる
お志津地蔵尊は一願成就のお地蔵さまとして信仰を集めている。
修験道広場に堂々とそびえ立つ日本一の大聖身代不動明王
七宝瀧寺のご本尊は倶利伽羅大龍不動明王(くりからだいりゅうふどうみょうおう)で、本堂に行くまでの広場に、大きな身代わり不動明王が、そびえている。
青銅製として日本で一番大きな不動明王。
願望成就などたくさんのご利益があるとされ、多くの方が本堂の倶利伽羅不動明王と併せて参拝する。
犬鳴山は修験道の祖である役小角が28歳の時に開山し、大峰山より6年早く開かれため元山上と呼ばれる霊山。
真言宗の開祖 弘法大師 空海もこの地で修行したそうだ。
ご案内くださった平松さんから、クイズの出題と説明
Q:この「お不動さん」の重量は?
Q:青銅製として日本で一番大きなお不動さんを、どうやってここまで運んだか?
※答えは修験道(山伏さん)のご紹介ページでチェックして
7世紀(634~706年)に生きた役小角(えんのおづぬ)という人物は日本独自の山岳信仰である修験道の開祖とされる。 葛(くず)の衣を纏い、松の葉を食し、大和国の葛城(木)山を中心に活動した日本最古の呪術者であり、聖徳太子が没した622年から約12年後に誕生したと思われることや
世の中が大きく変わった大化の改新や壬申の乱の時代に生きていたことなどをわかりやすい年表で説明してくれた。
ちなみに、この記事では七滝の内2つの滝(両界の滝・塔の滝)をご紹介したが、弁天の滝は参道から少し外れた場所にある。また、修験広場から先に古津喜の滝・布引ノ滝・行者の滝・千寿の滝がある。
この先の七宝瀧寺などのご案内は修験道(山伏)の江坂さんにお願いしたので「特集 ”日本最古の霊山”でお滝修行体験!運気を高めるー元山上犬鳴山「七宝瀧寺」」をご覧ください。さらに強運になれる!?
観光ボランティアガイドの平松さん
ありがとうございました♪
資料提供:観光ボランティア協会
おまけの情報
参道に入る前にある公衆トイレで、済ましておこう!(向かいにバーベキュー施設あり)
飴をくれた駐車場のおばちゃん、親の代からずっと飴を配っているらしい。
さすが大阪のおばちゃん。
駐車料金は、1回 普通車500円、観光バス2.500円 ※さのPayは、使用できません。
ご 案 内
泉佐野市観光ボランティア協会(泉佐野市観光情報センター内)
南海泉佐野駅上すぐ
TEL.072-458-3901 受付時間 10:00~16:00 ※年末年始お休み
※申し込みは1週間前まで
観光ガイド料: 10名まで 1,000円
追加1名に付100円 ※料金はいずれも税込
※ガイドの交通費は、実費必要になります。
※ガイド中に発生した事故、他に与えた損害は責任を負いません。
※案内予定地の天候により申込者へ連絡の上、中止することもありますので予めご理解ください。
尚、ガイド料はさのPayでのお支払いはできませんのでご了承ください。