泉佐野産の甘くて大きい苺
朝摘みの完熟苺にこだわる、とっても甘い苺が、なんと!泉佐野でも作られていると聞きつけて「道利いちご農園」さんへ。樫井川近く田畑が広がる長滝にハウス畑と直売所が佇む、自然が残る場所へお伺いしました。
1個85gほどある大きな苺。卵1個が50-60gなのでその大きさに驚く!
「実は大きい方が甘いんですよ。百貨店や産直市場に卸しもしているがこの直売所で売り切れてしまうほどの人気です。」
と生産者の道利ゆかりさんが嬉しそうに話してくれました。
きっかけは息子さんの農業への想いを母が応援
2013年、前生産者が高齢になり農業の継続が困難となった為、いちご農園を引き継がないかという話があったそう。当時、将来農業に携わりたいという息子さんはまだ高校3年生。大学への進学を勧めていた母ゆかりさんは「大学卒業するまでは自分が代わっていちご農園をする」と農業経験がないにもかかわらず、息子さんの将来の為にいちご農園を始めたというからその決断にびっくり。
「前任者から紹介された静岡県の師匠の指導通りにしてきただけですよ~。台風21号の時は4棟のハウスが全部倒れて大変だったけどね~」と笑顔で話すおおらかさ。母は強し!!
道利いちご農園を始めた3か月後。
なんと、大阪・和歌山・奈良にある「産直市場よってって」の取り扱い農産物から選ばれる2013年度「よってって最優秀賞」をいきなり受賞したそうだ!
「和歌山テレビの取材が入り市長も来る表彰式が行われるので参加するように言われました。もちろん名誉ある事ではありますが、息子の野球の試合日と重なりどうしても応援に行きたかったので最初は表彰式出席を断ったんだけど、何度も説得され仕方なく時間をやりくりして両方に行ったのよ~」
と当時を語るゆかりさんの発言にも、さらにびっくり!
ゆかりさんは泉南のママさんバレーチームで活動していたそうで大阪で優勝、全国大会に出場するほどだったとか。なるほどスポーツ好きで根性もあって、息子の野球をする姿を楽しみにしていたのも納得です。
これぞ天職!! 息子の大地さんは幼少期から植物好き♪
実は息子さんは双子で大地(だいち)さんと大海(ひろみ)さん。
その一人である、大地さんは名前の通り、花や農作物をこよなく愛し幼少時「ひまわりになりたい」といっていたとゆかりさんが教えてくれた。
「大地は農業をしていた祖父の手伝いを幼いころより率先し、花が好きで、5~6才で自ら華道を習い、今も自己流で花を生けるんですよ。」
花束のプレゼントを何より喜ぶ26才なのだそうで取材にお伺いしたときも販売所の片隅に大地さんが生けた色とりどりの花が飾られていました。
「中学生の時に、祖父の畑で大根を作り始め家族が知らない間に、阪南のスーパーで産地直売店に応募していたんです。突然、そのスーパーから電話があって知ったんですよ。ライバル生産者が多い中、みぞれ鍋の作り方をパウチというアイディアで大根を200本も売ったんで驚きました。その後、当時はまだ少なかったラディッシュに目をつけ産地直売所「よってって」で販売したんです」。
ゆかりさんが、いちご農家になることを決心した理由がわかるエピソードですね。
その後、本人の強い希望で農芸高校のハイテク農芸科へ進み、本格的に専門知識を身につけ、卒業後は、5年間いちご農園を守り続けた母ゆかりさんと念願のいちご農園での仕事をスタートさせた。
親子二人三脚で未来へつなぐ
現在、いちごなどを栽培する農家になって4年目になる大地さん。
「苗作りは大変難しくて、母は失敗してなかなかできなかったので、静岡の師匠のところから苗を仕入れ苺を育てていたんです。今は私が苗作りから栽培ができるんで今はこの農園で6000株作っています」
と、さすが高校で専門知識を学んだ大地さん。
「大地は、苗の段階で良い苺になるか、育たないかが判るが私には判らない。毎日、決まった時間に水をあげ、細やかな温度管理に加え苗は特に病気や害虫から守ることが大切で、苦労は絶えないです。
それでも手間暇かかる作業をするのは、農園の苺を楽しみにしてくれるお客様に、ほぼ安定した料金で提供できるように頑張っています」。
ちなみに苗販売の規制があり特許も必要だそうで、
「現在栽培しているのは、苺の味が濃く酸味と甘みのバランスがいい「紅ほっぺ」と、酸味が少なく優しい甘み「あきひめ」の2種ですが、今年は愛媛の新品種「あまおとめ」にもチャレンジしたいです」。
まだまだこれからも、挑戦は続くようですね♪
苺の品種と特徴
<紅ほっぺ>百貨店やケーキ屋さんなどに卸しているそう
切ると中は赤っぽく筋がわかりやすい。味はポピュラーで酸味と甘みのバランスがよく、苺の味が濃い。硬めでしっかりしている。病気に強く作りやすい。
10月~2月に収穫。ゆかりさんが1年目に作り始めた苺でよってって最優秀賞を取った品種。
<あきひめ(章姫)>たくさん実がなるので直売やいちご狩り向き。柔らかいのでスーパーにはなかなか並ばないそう。細長く中が白い。酸味が少なくさっぱりしていて柔らかい。優しい甘みでパクパク食せる。
道利いちご農園では2年目から作り始めた品種。
苺の栽培は、あれこれ大変
<温度調整>
暖房5℃を切ると休眠してしまうそう。5℃が3日続くと成長が止まるため、夜中は8℃以上、昼間は14℃以上に設定され、20~28℃超えないよう換気のために屋根が自動開閉する。
<ヤシガラの苺ベット>
土の代わりにヤシガラを使って栽培しています。ヤシガラは、熱帯地方などでよく見られるヤシの木になるヤシの実の繊維などで作られたもので、軽くて100%有機物なので廃棄も容易です。省労働、省費用で栽培コントロールがしやすいというヤシガラ栽培にしています。
近年、植物を弱らせる害虫ハダニ類が増え収穫時期が短くなることが問題になっていましたが、大阪府の農の普及課の取り組みで、天敵を活用したハダニ類の防除をするバンカーシートの紹介があり、現地実証の取り組み事業所として参加し、試してみてよかったので導入したそうだ。
※ミヤコカブリダニ(天敵)は、ハダニを食うオレンジ色のダニ。
予約販売でびっしりのカレンダー
リピーターさんが多く、ほとんど直売所の店頭販売で売り切れる。
「奇麗に並んでいるので苺同士で傷つかず完熟なのに腐りにくいわ」。
「孫が道利さんの苺しか食べないのよ~」と和歌山から毎週来るお客様もいるとか。
子供の方が、味には厳しいようで、ゆかりさんの3才お孫さんからも苺の味に指摘が入るそうだ。
農園の年間スケジュール
ゆっくり赤くなった方が甘くなるのだそうで、10月よりスタートして寒い時期の2月が美味しいそう。
1本の苗から間引いて、10個の苺を×5~6回にわたり収穫。それ以上の収穫は苗がやせて美味しい苺が採れないそうです。
- 2月~9月 苗の世話
- 9月 苗の切り離し 6000個
- 9月20日 定植(ハウスへ) 温度管理だけで見守るだけの時期
- 活着(苗がヤシガラベットに根づく)
- 10月末 防除(農薬散布)
- 花が咲く
- ↓
- 11月末 45日で収穫 販売スタート
- 12月上旬
- ↓ 大粒の苺は3月まで ホワイトデーがギリギリらしい。
- 4月
- 5月まで収穫
- 6月 小粒になり美味しいいちごの収穫が厳しくなりジャム用になることも。
※天候に左右される
販売価格
「あきひめ」 「紅ほっぺ」
- ・一般サイズ 1パック(280~300g) 600円より
- ・贈答用(化粧箱) 1パック(9~15個入) 1500円 ※50~85g/個
※収穫時期で重量、価格が変わります。必ず、お問い合わせ・ご予約をお願いします。
購入方法
購入は道利いちご農園直売所でお願いします。
人気のため売り切れ次第販売終了するので電話予約ください
道利いちご農園公式LINEでは情報発信や予約も受け付けています。
発送もできるので、お問い合わせください。
電話:090-8523-3392(9:30~12:00頃)
※産直販売店よってって・こーたりーな、
高島屋パンジョ(紅ほっぺを基本毎週土曜日販売)
但し収穫量により販売しない場合もあり。
また、こちらでは「さのPay」は使用できません。